先月に、岩倉山笹文小皿の金直しをしましたが、今月も桜井里焼きの平杯の金直しが上がってきました。
桜井里‥さくらいのさと‥は、楠木正成父子の決別の地である大阪府島本町桜井で、1782年頃に清水寛蔵が開いた窯で、廃窯は大正初年との事です。文献に、製品は古曽部に類して粗造の陶器なり…とありますが、末期には染付磁器を焼いていたことも知られています。しかし、その製品は地元に供給したのみであったようです。
さて、画像の平杯ですが、京焼の尾形周平や岡田久太が桜井里焼を指導したとされる事からか、平茶碗をそのまま小さくしたような薄手の作風になっています。また、楠公焼の印から、3代太十郎の時代の物ではないかと考えています。
私が桜井里を知ったのは、ヤフオクで見たのが最初で、地元の焼き物という事で興味を持ったのでした。その後、何回か桜井里を見かける機会はあったのですが手には入らなかった… そして、やっと手に入ったのが、この傷だらけの平杯だったのです。今回、小欠けを4ヶ所直してもらったのですが、おかげで、正月の最初の一口にのみ試してみようと考えています。…使うには薄くて怖いのだ。(^_^;)