この手塚治虫「上を下へのジレッタ」も、先の「佐武と市」と同じ日に購入したものですが、こちらは「難あり」の表記があったので、さほど高価なものではありませんでした。
表紙・・・一応主役っぽい小百合チエ嬢と、「ジレッタ」の重要人物である山辺音彦。
どうして「一応主役っぽい」・・・なんて表現になるかといえば、以下の作者による文章があるからです。
はじめに
この物語は、漫画サンデー誌上に一年間にわたって連載されたものです。
元の筋はもっと複雑で長いものですし、あいだに大きな山場として万国博のエピソード(有木足氏が、ジレッタ・パビリオンを万国博に出展する)が長々とあるのですが、EXPO’70も終わったことですし、この本ではそれを全部割愛しました。
またラストの世界破滅の妄想も、もとの筋では門前市郎が計画することになっているのですが、一冊にまとめるために少し内容をかえたことを御諒承いただきたいとおもいます。
・・・なので、本来は重要な役回りのはずが、取って付けたような「端役」に成り下がった「有木 足」氏。・・・ほぼ、このシュチュエーションのみで終了。(笑)
扉絵に描かれているので、やはり主役級ということになる2人ですが、右が「晴海なぎさ」という使用前的なキャラクターで歌手。左は、「なぎさ」が空腹になると美人に変身するという設定の「小百合チエ」。
・・・なので、食事を摂ると「小百合チエ」⇒「晴海なぎさ」に戻る設定。
ラスト・・・山辺音彦が増幅する「ジレッタ」なる同一の妄想により・・・よく分からんけど・・・
日本国民全滅!・・・おしまい。
1970年の万博が終了したからって物語全体を変更・・・なんて、手塚治虫にしたらよくあったのかしら。
まぁ、ラストが変更になったっていうのはよく聞く話ではありますが・・・
それと、全体に手塚治虫の本にしたら「古臭いなぁ・・・」と感じていたら、噴出しの文字が「手書き風」になっていたのでした。
でも、1970年頃にはゴシック体で読みやすくなっている筈なのに・・・と思っていたら、「漫画サンデー」で単行本になったものも「こんな字体」であったので、おそらく、出版社である実業之日本社の意向なのですかねぇ・・・。今作、手塚っぽい画風でもないし判らん!
話し変わって・・・それにしても、このコミックのどこが「難あり」なのか分からんので悩んでいるのでありますが、★カバーが無い ★新書版だけど汚れていたので本の上下を削り過ぎた ★染みがある ・・・なんて点が気づくとこれではありますが、先の「縄と石」よりは全体の状態はマシだと思うのでした。
手塚治虫「上を下へのジレッタ」 実業之日本社 ホリデーコミックス 9
昭和46年1月20日 初版